復習テストを学習の目標にしない
復習テストが悪くとも実力テストが良い生徒を目指す
次の表をご覧ください。実力テスト良し悪しと復習テストの良し悪しで、受験生は4つのタイプに分かれます。私の経験では、タイプ1から順に入試に合格していきます。
1と4のタイプはさておき、目指すべきは3のタイプのよりも2のタイプです。6年になると成績が下がるのが3のタイプ、成績が伸びるのが2のタイプ、A判定でも不合格になるのが3のタイプ、B判定でも合格するのが2のタイプです。
やり方を覚える勉強・復習中心の勉強は危険です

復習テストは良いのに実力テストは悪いというのは、勉強方法が間違っているからです。「いやいや、勉強方法は間違っていない。基礎は出来ているからいつか必ず実を結ぶはず」と、いつまでもタカをくくっていてはいけません。そのままズルズル・ズルズルと公開・実力テストで点が取れないまま、入試まで終わってしまいます。
このタイプの子どもは、「やり方を覚えるのが勉強」と思っています。ですから初見の問題には手も足も出ません。あるいは手は出そうとするのですが、そのやり方が正しいかどうか不安で、それ以上手が進みません。「正しい解き方、簡単な解き方」なるものが自分の外にあらかじめあって、それを覚えるのが勉強だと思い、「解き方を自分で見つけ出すのが本当の勉強」であることを知らないのです。
「本当の勉強」:覚える勉強から頭を使う勉強へ

勉強はきれいでスマートなものではありません。分からなければ図を描き、式を書き、表を書き、それでも分からなければ当てはめたり、全部書き出したりして、苦労して正解に到る泥臭いものです。時間はかかろうとも、そういう泥臭い勉強を積み重ねることによってはじめて実力がつき、忍耐力がつき、集中力がつき、自信がつくのです。
復習テストは良いのに実力テストは悪い生徒は、今の勉強方法を改め、1問に10分、20分かけてもいいですから、自分の持てる力を振り絞り、深く深く考えるようにして下さい。それでこなせる量は半分以下になるでしょうが、全く構いません。自分一人で解けた問題だけが、実力テストや入試本番で自分の味方になってくれるのです。
・・・他人から押しつけられた教育は、自分で熱心に努力して得たものほど身につかない。自らの汗と涙で勝ち取った知識だけが、完全に自分の所有物となるのだ。
自分自身が勉強すれば、その内容についての印象はいつまでも鮮明に残る。人から与えられた不十分な情報とは違って脳裏にはっきりと刻みこまれる。一つの問題を解けば、それが次の問題を征服する励みとなり、知識は次第に実際の用を足すものに変わる。
要するに、能動的に学ぶ姿勢が肝心だ。いかにすぐれた書物や教師にめぐりあおうと、丸暗記の授業をどれだけ続けようと、このような自己修養の姿勢が不要になることはない。
一見したところなんでもやすやすと学べるということは、子どもにとっては破滅の原因となる。そういうふうにやすやすと学べるということこそ、子どもがなに一つ学んでいない証拠であることが人にはわからない。なめらかに磨かれたかれらの頭脳は、ちょうど鏡のように、まえにある物体を映しだす。しかし、なに一つあとに残らず、内部にはいっていかない。子どもはことばを覚え、観念は反射されるだけだ。子どものいうことを聞いているものにはその意味がわかるが、子どもにだけはそれがわからない。